健診で初めて胸部レントゲン撮影を受けられ、異常陰影を指摘された方は、念のためCT撮影をお薦めします。
しかし、数年以内に当院で施行された方は、CT撮影を行う前に、是非、健診のレントゲン写真をCDに保存してもらって当院に持参してください。
以前から同じ場所に同じ大きさで同じように認められているものは、良性の腫瘍か炎症性の瘢痕であって、癌ではありません。要するに比較検討できる写真があれば、精密検査が不要となるケースが半分以上あります。たまたま、指摘された部位以外に癌が見つかったというケースはありますが、これは「棚ぼた」「怪我の功名」ですし、胸部レントゲンの判断自体は間違っていたことになります。
1cmを越える肺癌病変なら条件が良ければ胸部レントゲンで指摘することはできますし、2cmを越えるものを指摘しなければ誤診といわれても仕方がありません。
しかし、1cm以下の小さな肺癌は胸部レントゲンでは映らない可能性が高いのです。これは他の部位(肋骨、縦隔、血管など)に隠れてしまうという問題もありますが、陰影自体が薄いので映らないことが多いのです。(CTには映ります。) 仮に、胸部レントゲンで、1cm以下の病変が明瞭に描出されていれば、石灰や異物の沈着など肺癌でないものが映っている可能性が高いのです。
したがって、早期癌の発見にはCT撮影が良いのですが、何分、放射線被ばくと費用の問題がありますので、一様には薦められません。
また、多くの方が受ける検診では撮影時間の問題や、出張撮影が難しいといった問題があります。
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